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トップページ病気について > ウサギの病気~過長歯~


ウサギの過長歯について

1.ウサギの歯について

 大人のウサギの歯は、上の前歯が4本(2本は大きな歯の裏側に小さく生えています。ウサギはゲッ歯目ではなく重歯目に分類されます。)下の前歯が2本あります。奥歯は前歯から少し離れて上側が片方に6本、下側に5本あります。 人間の歯と異なり、前歯も奥歯も常に成長し続けています。食事をするときに人間ではとても噛み切れないような繊維分の多い草などを食べるため、歯がすり減ってしまわないように伸び続けているのです。

2.過長歯とは

 野生のウサギは生きていくために、木の皮やワラ・野草を食べ続けなくてはなりせん。そのため、歯をよく使い、歯の伸びる速度と削れる速度がうまく合っています。ところが、飼育下のウサギは栄養のバランスが整った加工されたペレットや柔らかい野菜や果物が主食となってしまうことが多くあります。そのため、歯の削れる割合が少なくなり、伸びすぎてしまいます。 この伸びすぎた歯のことを過長歯といいます。過長歯は前歯でも奥歯でもおこります。前歯なら唇を持ち上げて覗けば分かります。しかし、奥歯の過長歯は外からは見えないため、ウサギが食事を取れなくなるぐらい悪化して、動物病院で検査をしてはじめて見つかる場合が良くあります。

 過長歯は、単に歯が伸びすぎるだけでなく、悪化すると口の中や歯自身や顔に直しようのない障害を引き起こします。

3.過長歯の問題

 ウサギの歯が摩耗せず、伸びすぎてしまっても、歯は成長し続けます。奥歯が伸び続けると口が徐々に閉じられなくなり、口が開いていくと前歯が咬み合わなくなり、その分前歯も伸びすぎていきます。また、刺激が歯の根元に影響を与えると、アゴの骨が変形したり、歯並びがズレてきて不正咬合になります。それに伴い、歯が尖って削れてしまうと、舌や頬に突き刺さってしまいます。上側の奥歯が伸びすぎると目の下から徐々に目を圧迫していきます。涙目や結膜炎・眼球突出にまでなります。下側の奥歯でも下顎骨を突き破り皮膚の下で炎症を起こします。

 前歯が伸びすぎると、左右の歯が広がってきたり、口の中に丸まって突き刺さることが良くあります。

 過長歯になり、歯の根本にまで障害が出ると、もうその障害を直すことは出来ません。それ以上の悪化を食い止める治療をするしかありません。

4.過長歯のウサギの見分け方

 動物病院で定期的に健康診断をするのが最善ですが、ウサギのちょっとした行動の変化で疑うことも出来ます。

(1) 好き嫌いの変化
 いつも食べていた食事を食べなくなったり、いつもは食べたがらない食事を食べるようになった場合、過長歯があるために口がうまく動かず、食べれる物に変化が出てきた場合があります。

(2) 口の周りのヨダレやしつこい毛づくろい
 口の下側の毛が湿って寄り合っていたり、しつこく毛づくろいをしている場合、過長歯のため口の中に刺激がありヨダレが多くなったり、口の中を気にしていることがあります。

(3) 涙目や目の充血
 過長歯が悪化すると涙が鼻に抜けずに溢れ出してしまい、涙目が多くなります。また、口の内側からの刺激で目が充血することもあります。

(4) アゴの腫れ
 毛があるので触ってみないと分かりませんが、過長歯が悪化するとアゴが変形してデコボコしたり、皮膚の下側に膿がたまり腫れてきます。

(5) 食欲不振
 口の中で歯が伸びすぎてしまい、痛くて食事が出来なくなります。ウサギは食べなくなると短期間で命に関わるほどの消化器障害になりやすいので、緊急事態です。1~2日以上様子を見たりはせずに、早急に動物病院にかかることをお勧めします。

5.過長歯の治療方法

(1) 食生活の改善
 先に述べたとおり、ウサギの歯は常に伸び続けています。動物病院で治療しても、歯はまた伸びてくるのです。ウサギにとって動物病院はストレスのかかる場所なので、少しでも治療回数を減らせるのなら、それに超したことはありません。そのために、まずウサギ自身が食事によってうまく歯を摩耗させられるように、歯を動かす食事を与えるようにしましょう。

 ワラ(チモシー・アルファルファ)は歯を摩耗させるには大変優秀な食材です。そのまま与えれば、前歯も奥歯もよく使って食べなくてはならないので過長歯予防にもなりますし、胃腸に良い刺激となりますので、お腹の調子も整います。ただし、好みがはっきり分かれる場合が多いので、食べてくれないこともありますが、いつでも気が向いたら食べれるように与えておいてください。

 咬み石や咬み木は、前歯を摩耗させるには有効です。しかし、奥歯にはあまり効果がありません。

 ペレットは袋の成分表示をよく見て下さい。粗線維の割合が高く、タンパク質の割合が低い物が良いと言われています。(理想は粗線維20%以上・タンパク質18%以下) ただ、ワラに比べると加工されている分、歯を使わなくても食べれてしまいます。堅いペレットも簡単に砕けますので歯を摩耗させる程、口を動かしません。

(2) 動物病院での治療
 食生活の改善だけでは伸びすぎてしまう場合や、不正咬合を起こしてしまっている場合は動物病院で歯を削って治療します。

前歯の治療
 おとなしいウサギであれば、きりがおか動物病院では軽く押さえて切ってしまいます。5分もかからずに治療終了です。暴れてしまう子や歯を切るだけでは改善できない子は、麻酔をかけてからグラインダーできれいに削ります。ただ切るより綺麗に削れますし、眠っている間に奥歯の奥まで検査できます。ただし、麻酔をかける分時間がかかり、また麻酔の危険性がありますから、半日お預かりして、安全に麻酔がかけられるか検査してから治療します。

奥歯の治療
 口を大きく開けなければ安全に治療が出来ないため、麻酔をかけます。事前に麻酔をかけることが出来るかよく検査をしてから、問題がなければ麻酔をかけます。すでに食欲がなく、体調を崩してしまっている場合は、体調を回復するために治療を行い、体力が改善してから麻酔をかけます。しかし、奥歯を治療しなければ食欲の回復する見込みがなかったり、薬では体調を回復できない場合は、それ以上体力が減少する前に、飼主様とよく相談した上で、ある程度危険は覚悟して麻酔をかける場合もあります。

 ウサギの歯は摩耗しないと一ヶ月で1cm以上伸びてしまいます。病状によって、2~3週間毎に治療が必要なウサギもいれば、半年ごとの治療で維持できるウサギもいます。ですので定期的に検査をし、そのウサギにあった治療方法を決めていくのが良いでしょう。

2005年7月28日
きりがおか動物病院
院長 関口 諭